横浜市学校保健会 合同研修会 報告


日時:平成22年10月7日(木)PM2:00~
image21.jpg場所:教育文化センター ホール

1.調査研究部会報告
  報告者 西支部 及川玲奈理事 


2.基調講演
  テーマ「子どもの心の健康を考える」
  講師  横浜市こども青少年局担当部長、
  中央児童相談所医務担当課長
  児童精神科医   金井 剛氏

(1) 心の健康とは
・ いろいろな出来事や変化に対し、柔軟性をもって対処できること。
・ 愚痴をこぼし、相談できる信頼関係のある仲間関係を成立していること。
・ 自分らしくいられること。
①乳幼児期から思春期まで
・ 乳幼児期は基礎工事の時期であり、大人の感情を読み取る力が発生し、反抗期を通して親からの分離の試行もある。しかし、その根底には安心感、信頼感などの愛着の形成がされていなければならない。
・ 乳幼児期から突然、思春期にいくわけではない。子どもの現症を理解するには生育暦を知る必要がある。どんなふうに生きてきたか、乗り越えてきたか、感情表現に特徴はなかったかなどを知らなければならない。(感情で難しいのは「怒りの処理」の表現方法)
②思春期とは
・親が子どもに対してコントロールできなくなる時期である。
・自分自身の価値、自分特有の価値観を身につけようとする時期である。
 ・そのことによって未熟な表現(ひねくれ、甘え、人のせいにする、家庭内暴力)なども生じてくる。   
③自立とは
・上手に他人に頼る、委ねることで可能になる。即ち、人に対する安心感や自分を委ねられる十分な自己肯定感が重要になってくる。
・子ども達とこのような関係をもつことが大人の役割である。
(2) いじめについて
・ いじめはなくならない、あると考えるのが前提とする。
・ 対処として
 いじめられる側に→プライドを守ること、あなたに原因はない
 いじめる側に→必ず背景が存在するので、背景を探り出す、いじめは著しい人権侵害であることを伝える。                   
(3) 不登校について
・ 最も困っているのは本人である。「行けるようになる」ことが目標、待つ覚悟をする。
・ 「押しすぎず」「離れすぎず」が基本である。
・ 暴力行為について
・ 対応としては「伝えたい言葉」を聴くこと。
・ 医療を要する場合はタイミングを待ち、自分一人(親だけ)で解決しなくてよい。
(4) 思春期の性の問題について
・ 性とはそれまでの人生を集約した面もあり、自分を大切に思える子に育っているか、
そう思えるように親は努めているかが大事である。
(5) 非行について
・ 非行の背景には児童虐待、家庭環境における種々のネグレクトなど多様さと単純さがある。
・ 子ども虐待について
・ 対応件数が増加している。
・ ネグレクトが増加し、非常に影響が大きい。
・ 性虐待とネグレクトの関連、性非行など影響が大きい。
・ 発達障害といわれる被虐待児童も増えている。
・ 学校は発見の場として重要である。少しでも疑ったら、観察や声かけをし、複数による観察と対応をする。

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