言語聴覚士と耳鼻咽喉科医・学校現場との
連携について


学校耳鼻咽喉科医部会 部会長 朝比奈紀彦

 学校教育、学校保健における言語聴覚士の役割と位置付けについて、廣瀬 肇先生(前北里大学医療衛生学部教授・東京大学名誉教授)の講演を拝聴する機会があったのでご紹介します。

 言語聴覚士とは平成9年に言語聴覚士法が制定されて成立した国家資格であり、医療に関係した国家資格の中では最も新しいものです。現在までに約15,000名が資格を取得していますが、70%が医療に従事しており、残り30%は介護老人保健施設・福祉・教育分野で活動しているのが現状です。言語聴覚士の役割は、音声言語によるコミュニケーション障害がある者に対し、機能向上のための訓練・検査・助言を行うと法に定められています。よって業務内容は主に失語症などの言語障害の評価・訓練を行っていますが、近年は同時に摂食・嚥下訓練に従事している者も多くなっている傾向にあります。「就職難」のため、音声言語によるコミュニケーション障害に活躍の場を求めたくても叶わない現実があるのです。これは耳鼻咽喉科医と言語聴覚士の関係を維持する上でも大きな問題です。

 このような背景の中、言語聴覚士を特別支援対象学童や発達障害児の教育に参加させていこうとする動きがあります。教育現場でも児童生徒のコミュニケーション障害の早期発見と対策が大きな課題となっていますが、耳鼻咽喉科学校医と学校側との連携に新たに言語聴覚士が加わることで、対象児童の学校生活の質の向上にもつながります。そして言語聴覚士にとって学校保健の現場が適切な職場となることにも期待しています。