横浜市学校保健大会 報告


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第1分科会 報告

「保護者も学校へ行こう!
~児童生徒とディスカッションして発見するこどもの成長~」
 提案者 PTA部会 竹本靖代(奈良中学校PTA)

 子どもたちが心身共にバランスの良い発達ができるよう、学校保健に保護者が加わり効果があげられている事例発表。

①青葉区奈良中学校区学校保健会の取り組みについて
 奈良中学校区の小中学校5校の児童生徒・教職員・保護者の代表、また学校医・歯科医・薬剤師・スクールカウンセラー・自治会長と幅広い参加者が、同じテーブルで話し合い、自らの健康のコントロールや自分で作る健康ライフをテーマに平成14年度から継続中。異世代の考え方、また小学生と中学生の考え方の違いなどそれぞれが感じる事ができ、視野も広がり保健活動が身近に広げられる貴重なツールとなっている。
②奈良中学校PTA保健・成人委員会の活動について
 学校と連携した講演会の開催や奈良中学校保健委員のグループ発表を文化祭で展示をしたりすることにより家庭で子どもとの接点や情報を共有できるような活動を展開している。
 どちらの事例も、小中学生の考えの差から見える成長段階、子どもたちが入手する情報などに保護者が直に接し、そこから得られる相互理解が家庭での健康教育に役立っている。

「健康教育の充実を目指し、小中学校の効果的な連携を考える」
 提案者 中支部 井上波留美(立野小学校養護教諭)
         大場奈央美(港中学校養護教諭)

 中支部では、小中合同養護教諭部会を定期的に開催し情報交換を行い、学校の実情を理解しあう機会とし、さらに効果的な連携を図る為小中学校それぞれの活動や実態の中で実施できることを話し合い、学校保健委員会や授業参観交流等を行った。この結果(小中交流)、①中1ギャップの減少②問題を抱えている子どもとのスムーズな関わり③保健学習の連続性④学校保健委員会の連続性⑤中学生のモチベーション向上、に繋がった。また、日程調整・安全面・テーマ設定・年齢差等の課題も残る。今後は、養護教諭の専門性を活かした、健康教育を実践するためにより効果的な連携を目指す。

「児童生徒の味覚と食育について」
 提案者 学校医部会 相澤芙美子(市沢小・善部小学校医)

 子どもの頃からの生活習慣とくに食習慣は重要である。食習慣は小児期に作られた味覚で形成される。
 今回、小学校2校高学年児童296名に行った食べ物に関するアンケートをもとに子どもたちのより良い味覚形成のために何を気をつけたら良いかを考え、伝えていく方法などを検討した。
 メニューの多様化、組み合せの複雑化。おやつの食べ方や摂取量等、アンケートから読み取れる事がたくさんあった。
1977年米国・マクガバンリポート(栄養問題特別委員会による)では、世界中で理想に近い食事が達成されている国として日本が挙げられ「日本食を見習え」と報告された。しかし、現在の日本はその当時の米国に近づいている。(いや、越えている)大人になってから考え直すのでは遅い。今後の提案としては、①油・砂糖・添加物等の含まれていないご飯をしっかり食べる。②炭水化物の摂取量を増やす。
③子どもたちの嗜好(甘味・油分)を考える。④ごはん味噌汁中心の和食の味の美味しさを感じるような味覚を育てる。⑤主食のごはん量を増やし、おやつの摂取量を減らす。以上の事を中心に病気にならない食習慣を身に付ける事を推進する。

「検討!健闘!お弁当! ~中学生のお弁当事情~」
 提案者 磯子支部 高徳洋美(浜中学校PTA)
          田中和子(浜中学校PTA)

 浜中学校では、毎年「お弁当試食会」を行っている。これを発展させる形で、磯子区中学生が普段とのような昼食をとっているのかアンケートをとり、実態調査を行った。家からお弁当を持参する子どもの割合、お弁当の量や内容、お弁当を買う子どもたちはどこでどのようなものを買うのか、子どもの好きなおかず、お弁当に対する考え方、また保護者側の考え方や苦労等様々な角度から検証できた。
 今回、アンケートを実施したことで、子どもも親も食事の大切さについて、より理解を深めることができたと同時に、子どもたちがお弁当を作ってもらうことに対し感謝の気持ちを持っていることがわかった。また、学校給食希望の声も多く、その理由として①栄養バランス②経済的問題③安全面(食中毒等)。横浜市は、家庭からの弁当持参が基本。毎日のお弁当作り、気負わず楽しみながら時には手を抜きながら楽しもう!

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第2分科会 報告

「養護教諭が行う健康相談活動  ~養護教諭の専門性を生かした支援について~」
 提案者 養護教諭部会 伊藤京子(旭北中 養護教諭)
            笠井千沙(瀬戸ヶ谷小 養護教諭)

  養護教諭の行う健康相談活動は、養護教諭の職務の特性と保健室の機能を十分に生かし、心と体の両面への支援が必要である。何らかの理由で、学校・学級の集団生活になじめない児童生徒の不登校や保健室登校に関わり、支援する場合、担任や養護教諭だけで抱え込まずに学校全体で支援していく体制づくりが大切である。
 保健室登校支援の初期の対応:信頼と安心感づくり → 中期:コミュニケーションや自己表現を目指す → 後期:教室へ戻る機会をつくる、というような支援の流れも、学校全体での十分な話し合いと共通理解をはかりながら進めていくことで、より充実した支援となる。

「時代に対応できる危機管理体制の在り方 
~学校における新型インフルエンザ、麻しん、食中毒の状況と課題から~」
 提案者 校長部会 穴田洋子(菅田中学校 校長)

 昨年5月~年末にかけて流行した新型インフルエンザ、また麻しんの集団発生や校外学習での食中毒発生、ノロウイルスの流行の際は、その対応は困難を極めた。学校は子どもの健康を第一に考え、その時その場に応じて一番よい判断をして対応しなければならない。
 保健安全に関する危機管理体制で大事なことは、学校・家庭・地域が一体になっての対応である。また、個々の学校だけでなく、教育委員会、福祉保健センターと連携して対策を立てておくことも必要である。

「南区市立小中学校におけるう蝕の実態 ~DMF歯数を通して~」
 提案者 南支部 勝間田 聡(井土ヶ谷小学校・学校歯科医)


image25.jpg昨今学童期のう蝕が激減していると言われているが、う蝕指数として代表的なDMF歯数の調査を基に、南区内小中学校の実態は、小学校:DMF歯数1 中学校:DMF歯数2~3であり、学校によってばらつきがあるものの、減少傾向にあった。また、小学校では6番、中学校では6番7番のう蝕予防を徹底することが今後の課題である。
 定期健康診断で実施する歯科検診は、集団検診で、スクリーニングではあるが、より精度の高い検診が求められる。と同時に、COについては、学校医だけでなく、治療する歯科医も共通の認識を持つことが必要である。

「耳鼻咽喉科健康診断の事後措置 ~現状と今後の課題~」
 提案者 学校耳鼻咽喉科医部会 朝比奈 紀彦(恩田小他 学校耳鼻咽喉科医)

定期健康診断の事後措置について保健指導を行うことの重要性は、学校保健安全法に明確に規定されている。横浜市の事態では、有所見者への通知は主に養護教諭に任せ、「受診のおすすめ」を使っている。しかし、受診報告書の提出率は50~60%程度と低い。受診しない理由は、「すでに症状が軽快している」「所見の内容が理解できずに受診していない」などが考えられる。
 そこで今後の課題として、学校医が事後措置の重要性を認識し、保護者に対して所見の説明をし、養護教諭を含め学校側から保護者・児童生徒へ検診の意義等についての発信努力が必要と思われる。

第3分科会 報告

「児童生徒の受動喫煙による影響」     
 提案者 学校歯科医師部会 鈴木善久(さちが丘小学校 学校歯科医)

「児童向け〔くすり教育〕のご紹介」      
 提案者 学校薬剤師部会 齋藤崇子(小雀小学校 深谷中学校学校薬剤師)

「自らの健康を考え、積極的に健康づくりを実践できる子どもの育成を目指して」   
 提案者 保土ケ谷支部
 橋本英子(峰小学校 養護教諭) 松山朋子(権太坂小学校 養護教諭)
 阿部奈緒美(星川小学校 養護教諭) 東野友香(今井小学校 養護教諭)

「低視力者の屈折異常と弱視」
 提案者 学校眼科医部会 金井光(和泉小学校 学校眼科医)

 本当に参考になる発表が多く見られました その中でも私の仕事でもある学校薬剤師の齋藤崇子先生の議題 『くすり教育』について述べさせていただきます。


image26.jpg近年医薬品の販売の規制緩和が進み、セルフメディケーションという消費者が医薬品を自分の判断と自己責任で選び、使用することが求められている。このため薬に対しての教育が必要であり、薬に関する正しい使用法や副作用などの知識を、子どものうちから教育しようという試みが『くすり教育』である。特にOTC医薬品と言われる一般用医薬品を購入、使用する消費者が医薬品の特性を十分に理解し、適正に使用することができるよう知識の普及が必要となっている。
 早いうちから医薬品の役割や体の中での動き、また効果について知り、医薬品の正しい飲み方を教え、理解することにより、薬の飲み方、副作用の原因なども自分でわかるようになる。これは案外おとなも知らない事が多いので『くすり教育』が学習指導要領に盛り込まれたことにより保護者の今後の薬教育についても結びつくのではないだろうか。
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横浜市学校保健優良学校を受賞して

横浜市立茅ケ崎東小学校

 茅ケ崎東小学校は今年度開校9年目の、市内では比較的新しい学校で、児童数が970名を超える大規模校です。昨年度の「保健教育」に続き、本年度は「保健組織」で学校保健優良学校として表彰をしていただきまして、光栄に存じます。

image74.jpg「いきいきキッズタイム」 本校では、「心と体を鍛え、自ら心と体の健康づくりを進んでする子を育てる」ことを目標に、保護者・地域・校医の方々と連携して、子どもたちの心と体の健康づくりのために、様々な活動に取り組んでおります。

 例えば、横浜市体育協会やダブルダッジチームの「ゼロ」と連携して、PTAのクラス委員200名以上の方が主体となり毎週水曜日に「いきいきキッズタイム」という活動を行っています。体育館で学年ごとに、大縄やダブルダッジに挑戦し、体力づくりの底上げを行っております。

image75.jpg「学校医との座談会」 また、PTAが「学校医との座談会」を企画し、専門の立場からお話をしていただきました。第1回目は、内科と耳鼻咽喉科の校医の先生をお招きして、学校で流行っている病気、予防接種、アレルギー性鼻炎の現状と学校生活における注意点などについて、お話していただきました。保護者の皆様が、日頃子どもたちの健康について疑問に思っていることを校医の先生方にお答えいただき、有意義な座談会を開催することができました。


 学校保健委員会では、「心の健康」について各学級での取り組みを話し合っております。このように、本校では、「子どもたちの心と体の健康」に向けて、学校医・地域・PTAの皆様と連携し様々な活動に取り組んでおります。